高校無償化からの朝鮮学校排除に抗議する文科省前「勝手に金曜行動」

2018年1月4日
高校無償化からの朝鮮学校排除に抗議する文科省前「勝手に金曜行動」
「明けましておめでとうございます」という第一声を前置きにしたHさんの発言は、

「残念ながら」という逆説的接続詞で続けられなければならなかった。

「新しい年を迎えても、文科省は、高校無償化について、いまだに、

非人道的、非教育的な態度...をとり続けています」。

アベ政権は、無能な政策を隠蔽するために、憲法で保障された基本的人権、

誰にでも保障されるべき学習権の問題である高校無償化を政治外交的問題にすり替え、

いたいけな子どもたちの笑顔を奪っている。

誰かを貶めることによって成り立つ政策が、豊かで民主的な国民のためになるはずはない。

「この建物で働く公務員の皆さんとも、玄関前の石畳の上を行き来する皆さんとも、

そのことを分かり合いたいと、わたしは思っています」。

 

 雪になるという天気予報は、2、3日前に、好転したが、完全に葉を落とした

アメリカプラタナスやソメイヨシノが見下ろす文科省前歩道は、

防寒を心掛けた完全武装の足元から冷気が這い上がってくる。

しかし、ビラが滑らないように手袋を外した指先をかじかめさせながら、

通行人に歩み寄って声をかけると、少ないひと通りにもかかわらず、

受けとってくれる人が多い。

脳卒中リハビリ中の声のかすれるSさんに習って歩み寄って声をかけ訴えると、

思いのほか反応がいい。
 「日本の学校で、100周年、100何周年という記念行事に立ち会ったことがありますが、

教育勅語が亡霊のように現れ、わけのわからない道徳教科書が登場している現実を見ると、

忸怩たる思いを禁じ得ません。

日本は、敗戦によって、帝国憲法下の教育を断ち切ったはずではありませんか」。

西東京第二初級学校のある町田で、外国人の子どもたちに寄り添って実践してきた

Kさんは、静かに語る。

「教員生活の中で、今数えると26年間に、韓国人、中国人、フランス人、チリ人、

ブラジル人、フィリピン人、朝鮮人など、たくさんの外国から来た子どもたちと付き合ってきました。

韓国、朝鮮の子どもたちが入ってくれば、保護者とともにオモニからチジミの作り方を教わり、

チリ人のお母さんには、チャンタカというお菓子を作ってもらったり、

クエッカという踊りを教えてもらって一緒に踊ったりしました。

どの子も人として、その存在を肯定されなければいけないと思ってやってきました」。

 

それぞれのルーツやアイデンティティを大事にする取り組みが個人や組織的に続けられてきた。

朝鮮高校の無償化排除は、そのような心ある日本の教師たちの営みを踏みつけ、

蔑ろにする。

「日本の学校は、愛国心道徳ではなく、差別のない社会を教えなければいけません。

文科省は、差別を教えてはいけないのです」。

日本の学校が生き返るために、朝鮮学校から、何を学ぶべばいいのかを鋭く指摘する。


 底冷えのする虎の門文科省前、語る思いは、冷徹で熱い。

「わたしも、かって差別者でした。わたしが普通に通った日本の学校は、

わたしという完全な差別者を作りました。

義務教育の9年間が、差別はいけないという観念だけをしっかり持った差別者を作ったのです」。

初めて参加したという女性が発言する。

「わたしを差別者であることに気づかせてくれたのは、ある在日の友だちとの出会いでした。

それが、自分の気づいていなかったわたしの差別意識を教えてくれました」。

上から目線に気づかず生きていた彼女は、そういう相手と触れ合い、

知り合い、学ぶことによって、自分の無意識に気付き、差別者である自分を知るようになった。

そして、彼女は、その差別意識によって相手を蔑んでいたというより

自分を貶めていたことに気づいたのだという。

「差別者」とは、「ファックミーシューズ」と言われるヒールの高い靴で

他者の足指の先を踏みつけながら、踏まれた相手に優しく微笑みかける自分に

気づかない「被差別者」のようなものかもしれない。

「わたしは、今、差別者からの脱却、自分自身の解放への道を歩き始めています。

そのことがうれしいのです。初めて、この集会に参加しましたが、自分自身の解放のために、

無償化除外反対を叫び続けます」。


 人権協会のKさん親子が語り、朝高OBがシュプレヒコールを叫ぶ。

「今日は、学生は来ないけれど、みんながきっと来ていると思って来ました」と

女性同盟国際部長のKさんが話す。
 
みなさんへお遊びの年賀状を配った。
〒100-8959 千代田区霞が関3-2-2文科省前
勝手に金曜行動のみなさんへ
「明けましておめでとうございます。
金曜行動参加ご苦労様です。雨にも負けず、アベにも負けず、差別や迫害にも負けぬ熱気で、

厳寒の風さえも快く感じられる文科省前です。

古希を迎える年になり、頭も体も老いに迫られて弱りつつありますが、

ここに来ることによって、力をもらい、元気で一週間を生き抜くことができます。
本年もよろしくお願いいたします。
子どもたちに笑顔を!
無償化裁判勝利!」

学生たちは、まだ冬休み。若人たちの熱気には及ばないまでも、集まった30名の意気は盛んだ。

今年も宜しくお願い致します。

 

(facebook  Bさんの記事より)

 

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